問題意識とは何?
問題意識とは何?
・問題とは
「問題」は、どこかに「問題がある」のではなく、誰かが「問題にする」ことによって、初めて「問題になる」ものです。
その辺に転がっていることはありません。
問題はいつも誰かの目を通してのみ“問題”となることを理解してください。
・問題の特性
特性その1は、その人にとって「問題」と思えても、他の人にとっては何でもないことがあります。 もし、誰の目から見ても「問題」なら、「問題を改善していない」ことが問題で、本当の意味での「問題」ではありません。
ここでいう「問題」とは、誰も気づいていないが、いずれ大きな広がりをもつだろう「問題」、まだ誰も気づいていない危機となる「問題」、まだあまり気にとめられていないが、必ず顕在化する「問題」などです。
特性その2は、仮に問題とされたとしても、それを解決しようとするとは限らないということです。 これは、問題と課題との違いです。飲み屋で上司の悪口、会社の批判をしているのは、その人がそれを問題だと思っているということです。
でも、多くは酒の肴としての話題にすぎません。
誰もが、それを自分が解決すべき問題だと受け止めるとは限らないということです。
しかし、その問題を、自分が解決すべき問題として、具体的に考え始めたり、行動を起こし始めたとき、その「問題」は、その人にとって「課題」になるのです。
・問題意識とは
「後3ヵ月で異動だから」と問題から逃げることもあります。
暇がない,予算がない,人手がないと言訳して、問題を避けることもあります。
しかし大半は、他の人も別に気にかけていないじゃないか、別に大したことではないと、「問題」を見過ごします。
逆に、自分の感じた問題と向き合い、何とかならないだろうかと考え始めたとき、始めて問題は「解決しなくてはならない事柄」として目の前に創造されることになります。
これを、「問題意識」と呼びます。問題を感じることは,誰にでもできます。
しかし、それに向き合わない限り、その問題は、無いのと同然です。
「問題意識を持つ」ということは、問題をとらえて、その「問題」を「課題」にすることです。
ただ、何を「問題→課題」と意識するかは、その人が何を問題と思うかで、違ってきます。
問題とは、現状と基準とのギャップですから、何に基準(目標)を置くかで、
①理想との乖離を問題だと思う(理想との差を問題にする)
②立てた目標や基準の未達や逸脱を問題と思う (目標未達を問題にする)
③不足や不満を問題と思う(欲求や満足の満たされないことを問題にする)
④価値や判断の基準からの逸脱を問題だと思う(価値や意味との距離を問題にする) などに分かれます。
言い換えると、現状を“問題”とするかどうかは、どういう基準(目標)を意識しているかによります。 つまり、基準(目標)の明確化が、より問題への感度を高めることになるはずです。
気づきを高めるチームとしての取り組み
問題の特性から、次の点が言えるはずです。
第1は、問題が誰かの目を通してのみ“問題”となるのだとしますと、共通な問題が“ある”のではなく、ひとりひとりが問題にしている問題を、共通な問題に“する”というプロセスを経る必要があるということを意味します。
第2は、問題とする“基準”、たとえば達成すべき目標、維持すべき水準、保持すべき正常状態、守るべき基準等々が共有化されていなくては、何を問題とするかがバラバラになってしまう。
基準が共有化されてこそ、現状に対して“問題”を共有化できます。
第3に、基準と関わるひとりひとりの意識には、理想との差,目標の未達,不足や不満,価値や意味との距離などがありますから、チームとして目指すもの(目的)、期待する成果(目標)をすりあわせる必要があります。
そこで、「問題を意識する」ことを高めるには、次の4点が重要になります。
①そのことについての知識・経験があること
②目的や目標が何であるかを知っていること(目的意識)
③それが自分の問題であると感じること(役割意識)
④それを自分が何とかしなくてはならないと感じていること(当事者としての自覚)
つまり、問題意識があるから問題が見えるのではないのです。
問題が見える立場と意識があるから問題意識が強くなるのです。
では、どういう状態だと問題が見えやすい状態とすることができるか?
それは、こういうことです。
チームの目指すものは何かという目的意識があるから、その中で自分は何をすべきかが意識でき、その役割意識があるからこそ、何が問題かに気づきやすい、ということです。
これをたえず、チーム内で確認し、すり合せることが必要です。
問題意識を高めるために、確かにひとりひとりのレベルアップも不可欠です。
チームで仕事をしているときは、それだけでは問題の解決になりません。
ひとりひとりのミスや不注意を起こさないようなチームとしての仕組みをどう作るかが課題でなくてはなりません。
たとえば、コミュニケーションでもそうです。
職場のコミュニケーションは、仲良しになるために必要なのではありません。
コミュニケーションの目的は、共有化した職場の目的・目標を達成するために、それぞれが分担している役割の間での情報交換です。
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